現在、医療業界が医師や看護師不足に悩まされていることは、よく知られていることでしょう。
医師を紹介する業者に高額の手数料を払わないと、医師を確保できないという事態が多数の病院で生じている、との話も耳に入ってきます。
医療財政を破綻させないために、医師の数は医学部の数と定員を制限することによって抑えられています。
医師に高い給与を保証できず、専門医の研修制度などが確立していない小規模病院は特に医師不足が深刻となっているのです。
そのため、若い医師を採用しても長続きせず、高年齢の医師が医療現場を支えることになります。
病院の主要な収入源は保険診療による診療報酬ですが、診療報酬の点数制度が改正されてからどの病院も経営に苦慮するようになりました。
経営の苦しい病院は生き残りを賭けて、患者の招来や医療機器予算の縮減などの方法を積極的に模索しています。
その結果、多様な検査を必要とする交通事故など儲けの多い部門を引き受けざるを得ず、24時間体制が必要になって益々職員の負担が増えているのです。
なかには、還暦近い高年齢の医師であっても、月7回もの夜勤を強いられる病院もあるようです。
医師の夜勤は仮眠が認められているが、ほぼ毎回深夜に急患の相手をしなければならないので、一定時間継続した睡眠を取れることはほとんどありません。
仮眠が認められている以上、夜勤明けも日勤があるのが通常で、医師の長時間労働が現場の疲弊を加速化しています。
そして、看護師の数が多いと診療報酬も増えるので、看護師の争奪戦も激化しているのです。
また、人工透析など高額の機器が必要でも収益の少ない部門は廃止されるようになり、症例の少ない患者の行き場が少なくなりました。
現場の負担を減らすため、より高度な人工知能など医療現場を支えるシステムの導入に期待が寄せられています。